映画カルテットについてご紹介
映画音楽の巨匠、久石譲の初監督作品
夢と友。それはともに忘れることも捨てることもできない。
久石譲という名前を映画好きでは知らない人はいないだろう。宮崎駿監督の『もののけ姫』や『風の谷のナウシカ』、北野武監督の『BROTHER』など多くの話題作の音楽を手がけてきており、その作品名を挙げればきりがない。そんな彼が監督した初めての作品だ。
その映画のタイトルは『カルテット』。4人で弦楽四重奏団を組んだ若者の青春を描いている。この話は久石が長年考えてきたストーリーをもとに作られている。
自分で決めた道をあゆむことができるのだろうか。
大学4年の夏、担当教授である青山徹の提言で、音楽大学の同級生だった相葉明夫、坂口智子、山田大介、漆原愛の4人で弦楽四重奏団 (カルテット)を組むことになる。半ば強制的に組まされたことやコンクールでのトラブルによってその結果は思わしくないものだった。それは各々の記憶に複雑な思いを残しつつも、彼らは大学を去っていく。
3年後、彼らはオーケストラのオーディション会場で再会する。そして、カルテットを組み、コンクールに挑むこととなる。
最初はバラバラだった演奏が練習を重ねるにつれて1つになっていく。しかし、そんな中、明夫だけは別のことに頭を悩ませていた。彼はオーディションを受けたオーケストラから、同日の同時刻に行われるコンサートマスター就任の要請されていたのだ。そして、明夫はその要請を受けることになった。
コンクール当日、3人のいるコンクール会場には明夫の姿はなかった。明夫たちの選んだ道はどうなるのだろうか。
鮮やかな初監督作品とは思えない演出
大学の同期生だった相葉明夫、坂口智子、山田大介、漆原愛の4人は人生の大きな壁に直面していた。
亡き父の重圧に苦しみ、自分の未来を真っ直ぐ向くことができない明夫、バイオリンの夢を諦めることができずに生活のためにバック奏者をしている智子。音楽学校の教官の助手になったものの、その職をうしない、同時に同棲相手が出産間近という人生の大きな局面を迎えた大介。父親の会社の倒産という大きな事態に直面し、同時に自分のチェロへの自信がもたない愛。
大学卒業後に会うことのなかった彼らは再会し、それぞれの思いを抱きながらカルテットを組むことになる。そして、それぞれがその結末に感じ取ったこととは……?
カメラワークとテンポのよい映像によってどこにでもある青春の1コマを一気に見せていく。彼らが悩んでいる心の内面や変化まで映し出す手法は彼の映像クリエイターとしての素質を存分に表現しており、初監督作品とは思えない作品に仕上がっている。
それは今まで巨匠と仕事との仕事で彼らの手法や感覚を身近に感じてきた彼だからこそなしえる業ではないだろうか。